■ 『腱鞘炎』について。
腱鞘炎というのは手や指に起こりやすい疾患です。
腱鞘炎と聞くとほとんどの方が手に起こる病気と思っていますが、実は腕全体や足（アキレス腱）などにも発症する疾患です。
ただ、手や指に発症する方が圧倒的に多いため、今回は手や指に起こる腱鞘炎を中心とさせて頂きます。
■ 『腱鞘炎』の症状と種類。
まず腱鞘炎とは正式名称を狭窄性腱鞘炎（きょうさくせいけんしょうえん）と言います。
関節を動かすのは筋肉です。その筋肉の力を四肢の先端に伝える紐状の組織を腱と言います。
その周りを腱鞘が腱の浮き上がりを抑えるようにトンネル状になっており、この腱と腱鞘の間に起きた炎症を腱鞘炎と呼びます。
つまり、腱鞘が腫れることで腱がスムーズに腱鞘を通ることが出来なくなってしまった状態です。
腱鞘炎を大きく分けるとドケルバン腱鞘炎とばね指の２つがあります。
ドケルバン腱鞘炎は手首部分の炎症の一つです。
重たい荷物を持ったり、
小さな子を長い時間抱っこし続けたりすることが原因で起こる腱鞘炎のことを言います。
一方、ばね指は指付近の炎症の事を言い、指を曲げてから伸ばそうと思っても伸びなかったり、
その際に痛みが生じたりする腱鞘炎です。
■ 『ドケルバン腱鞘炎』について。
ドケルバン腱髄炎とばね指は両方とも狭窄性とされていますが、発症する部位によって名前と症状が異なっています。
しかし、いずれの場合であっても手や指に負担をかけすぎたことが原因で起こります。
今回は主にドケルバン腱鞘炎をメインに書かせていただきます。（ばね指は次回の予定です）
母指を伸ばす腱（長拇指外転筋腱、短拇指伸筋腱）の腱鞘炎で、親指の根元で手首の部分が痛くなります。構造上、痛みを起こす手首の部分で腱の走行が急角度に変わるため、そこで腱が強くこすられておこると考えられています。
母指を中に入れて握り小指側に曲げる（フィンケルシュタインテスト）と痛みが増強する特徴があります。ばね指と違い、引っかかりは少なく、屈曲したまま伸びなくなることは、あまりありません。
多くは手首の使い過ぎや悪い使い方が原因となることが多く、赤ちゃんを抱くことの多い母親や
コンピュータのマウスやキーボードの操作、楽器の演奏などの軽い手作業を長時間しておこることもあります。
■ 『腱鞘炎』の対処・予防と治療。
対処法としては…
手を使わず包帯やテーピングで固定し安静にしているのが一番なのですが、そういう訳にはいかないので、
腱鞘炎の症状があり手を使った後に火照った感覚がある場合、氷や冷シップなどで冷やすのがよいでしょう。
逆に暖めるのは、手作業などの後時間が経過した場合や作業前などに温めると効果があると思われます。
この場合は腱だけではなく腱と繋がってる前腕の筋肉も温めるとより効果的です。
パソコンによって痛みが出ている方は、マウスの種類によって腱鞘炎をおこしやすいものがあるようです。
また、キーボードの前に手を乗せるクッションがあると、ずいぶん楽で腱鞘炎の予防に効果あるようです。
予防法としては・・・
肩から背中や腕にかけてのストレッチやトレーニングをすると効果的と言われてます。
しかし腱鞘炎の痛みがある場合は負担のかからないていどに行ってください。
当院では前腕筋群や手関節への徒手療法に加え、アキュスコープ・マイオパルスを使用し、炎症をいち早く抑えながら早期の回復を行います。
前述したように手を使わないということは日常生活においてなかなか難しく、そのため腱鞘炎の症状は長期化しやすいので、お悩みの方は早期の受診をお勧めします。
